イタリアンジュエリーの伝統技法 3

2023/01/10

グラニュレーション -粒金 (りゅうきん)-

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第3回はグラニュレーションを紹介します。

粒金細工は、古代BC2000年からAD1000年頃まで装飾品として地中海美術に盛んに用いられていたそうです。現代において、その技法は失われ、再現の難しい彫金技法と言われ謎に包まれていましたが、近年少しずつその技法が解明されてきたようです。粒金細工は、小さな金属粒子(粒金)を、ベースとなる貴金属の部分に均等に貼り付けていく技法です。

上の写真は当店にてお取り扱いのある、フランスで1860年頃制作されたミニアチュールのブローチです。
細密画の周囲に細かい縄目と粒金が施されており、小さな美術館を閉じ込めたようなアンティークジュエリーです。

 

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1㎜にも満たない金粒をたくさん作り、一つ一つ溶接していく作業は熟練した職人でも難しく、完成するまでは気が遠くなるほどの手間と時間がかかります。
現代のジュエリー製作において、この粒金技法を取り入れているところは少なく、ヴィトロジュエリーは数少ない後継者といえます。上の写真はヴィトロジュエリーでも人気の高い粒金を施したコレクションです。

1月16日、17日、18日はヴィトロジュエリー展を開催いたします。ぜひグラニュレーションに注目して手に取って伝統技法を体感してください。

次回はイタリアンジュエリーの伝統技法 4 「捻り技法」についてお話します。

 

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