T. Shiojima
Collection 

幻の象嵌技法「ピクウェ」の第一人者
塩島敏彦

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かつてのヨーロッパ王侯貴族を魅了した幻の宝飾技法 「ピクウェ」を現代に甦らせた、象嵌作家でジュエリーデザイナーの塩島敏彦氏。

べっ甲や黒蝶貝に、金や銀を象嵌する繊細な技術を独自の美意識で昇華し、日本の感性を宿すジュエリーとして表現しています。

そのあくなき探求心で、ピクウェ以外の失われた技法の復元にも挑戦し、100年後も輝くジュエリーを生み出し続けています。

 

宝飾品の本質へのこだわり

宝飾品の原点は、「人を飾る美しさ」にあります。その美しさに人々は心を動かされ、感動するのです。真に美しい宝飾品とは、価値ある素材・宝石と、その素材をさらに引き立てるデザイン、そしてそのデザインを形にする確かな技術の三位一体によって成り立ちます。宝飾品とは、美しさと価値が共存し、職人の魂が込められた芸術品です。

日本で唯一の象嵌作家であり父でもある塩島東峰のもとで修業し、伝統の象嵌技術を取得。

幻の技法を求めて渡英
美術館やアンティーク市場でしか見ることのできなかった幻の宝飾品「ピクウェ」を探すために渡英。

100年ぶりの技法復活
1985年ヨーロッパで途絶えていた「ピクウェ」技法を100年ぶりに復活させることに成功。

失われた宝飾技術への挑戦
その後も、アイボリー・カーヴィング(象牙彫刻)、精緻な絵画技法であるミニアチュール、アール・ヌーボー期の幻想的なガラス工芸技術「パート・ド・ヴェール」など、現代では再現が困難とされる技術に挑戦し続けている。

作品は常に、高品質な素材とそれを引き立てる独自のデザイン、また高度な職人技術のバランスを保ち、一点ものの芸術性の高いジュエリーとして昇華されています。

あざやかに蘇る幻の伝統技法

現代では再現が困難とされる、古典的な宝飾技法を現代に蘇らせた4つの技術をご紹介します。

ピクウェ

塩島敏彦 ブローチ ヴェネチアンマスク ピクウェ アイボリーカーヴィング.jpg

べっ甲や真珠シロチョウ貝など有機素材の中に純金、純プラチナでつくったデザインパーツをかしめこむ象嵌技法の一つです。接着剤はまったく使いません。中でも、シロチョウ貝にピクウェを施すことにより独特の輝きが現れ、上品で美しいジュエリーに生まれ変わります。

ミニアチュール

塩島敏彦 ブローチ ミニアチュール アイボリーカーヴィング.jpg

象牙で細密彫刻したモチーフ(最も厚みのある部分で0.8mm)を、顔料をのせた象牙の薄い板やギョシェエナメルの上に貼りつけます。水晶を磨いてレンズ仕様にしたものをその上からかぶせ、レンズ効果により縦軸にも横軸にも奥行のある空間が創られ、素晴らしい世界を見ることができます。

アイボリーカーヴィング

塩島敏彦 ブローチ カラー ピクウェ アイボリーカーヴィング.jpg

丹念に磨きぬかれた完成度の高い象牙彫刻です。ハード材と呼ばれている極少量しか存在しない象牙の先端の上質な部分のみ使用しています。この場所は経年変化が起こりにくいのが特徴で、材料の入手も難しい上に製作に時間がかかり数多く作れないため、非常に希少性の高いジュエリーです。

パート・ド・ヴェール

塩島敏彦 ブローチ 女性 パートドヴェール .jpg

原型の造形をガラスに置きかえたジュエリーです。象牙で彫刻した原型を作り、それを雌型に起こします。非常に細かい粉末状のガラスを雌型に詰めて炉の中で二昼夜焼きます。焼きあがった後でないと想定どおりの色が出ているかどうかが全くわからず、成功率の低い難しいジュエリーです。それ故、価値の高いジュエリーといわれています。

作品紹介

  • 塩島敏彦 リング ミニアチュール アイボリーカーヴィング.jpg
  • 塩島敏彦 ペンダント バラ ミニアチュール アイボリーカーヴィング.jpg
  • 塩島敏彦 ブローチ 芥子の花 パートドヴェール.jpg
  • 塩島敏彦 ブローチ 猫 パートドヴェール.jpg
  • 塩島敏彦 ブローチ 女性 パートドヴェール .jpg
  • 塩島敏彦 ブローチ ミニアチュール アイボリーカーヴィング.jpg
  • 塩島敏彦 ブローチ トリ ピクウェ サンゴ トルコ石.jpg
  • 塩島敏彦 ブローチ カラー アイボリーカーヴィング.jpg
  • 塩島敏彦 ブローチ イチョウ ピクウェ.jpg
  • 塩島敏彦 ブローチ ヴェネチアンマスク ピクウェ アイボリーカーヴィング.jpg
  • 塩島敏彦 ペンダント ピクウェ.jpg

Profile

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主な受賞歴
2000年 日本象牙工芸展において東京都知事賞受賞
2002年 日本象牙工芸展において経済産業省製造産業局長賞受賞
2012年 日本象牙工芸展において経済産業省製造産業局長賞受賞

略歴
1954年 5月甲府市生まれ
1976年 象嵌作家塩島東峰に師事
1983年 有機素材に平象嵌をする特殊技術を習得後渡英
1985年 中世ヨーロッパに源を発し、幻の技術と呼ばれたピクウェの再現に挑戦
1998年 100年ぶりに技法を復活し、世界で唯一のピクウェ作家として現在に至る

コラボレーション
2013年〜 セイコーウォッチ<クレドール>とのコラボレーションによるピクウェ文字盤時計の展開、新作企画展を継続開催


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